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「走るからだ」は食事でつくる(レベルアップ編③)~「すばやく疲労を回復する」には?



 「走るからだ」は食事でつくるというテーマで、『こんなランナーになりたい!』、『私に不足しているのは●●だから、それを克服したい!』といった“目的別”に、普段の食事で意識してとりたい食材や組み合わせを取り上げています。

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 そして、今回のテーマは『すばやく疲労を回復する』です。

すばやく疲労を回復する

 「走る」にはエネルギーが必要なので、ランニングをした後は、もちろん疲れます。問題は、次の日に疲れをもちこしたり、疲れを引きずったまま毎日を過ごすことです。疲れが残っていると、パフォーマンスは低下しますし、場合によってはけがをしてしまいます。ランナーとしては、「すばやく疲労を回復する」ことはとても大切なことなのです。

TCAサイクル

 「疲労」といっても、疲労の原因はさまざまです。でも、いずれにも共通しているのが、”エネルギーを生み出す回路(TCAサイクル)“がうまくまわらなくなっている“ことが理由です。

 まず、TCAサイクルとは、「ATP」というエネルギーを作り出していく回路のことを言います。食事で摂取した栄養素のうち、三大栄養素である炭水化物・たんぱく質・脂質はそれぞれ、ブドウ糖、アミノ酸、脂肪酸・グリセロールに分解されます。そして、それらが細胞の中に入り、“アセチルCoA”という物質になってTCAサイクルの回路に入ると、“有機酸”に変化しながら水車のようにぐるりと回り、二酸化炭素と水を発生させていきます。

 TCAサイクルがうまく回ると、生きる上での、そして走るうえでの必要なエネルギーを作り出していきます。そして、疲労回復のカギは、いかにこのTCAサイクルを効率よくまわしていくことができるかなのです。

すばやく疲労を回復するには、TCAサイクルを効率よく回すビタミンB群とクエン酸

エネルギーの材料の不足がないように!

 三大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)をバランスよくとることが、まず疲労回復の大前提です。炭水化物を極端に制限する、反対に、炭水化物だらけ(ラーメン×チャーハンの組み合わせ等!)、またお菓子がごはんの代わりになっている、サラダ中心なんて食事は、より疲れやすく、疲れがぬけにくい食事です。

 なるべく定食形式(主食・主菜・副菜・汁物)で食事をとるように心がけることが大切です。TCAサイクルの大元となるエネルギーの材料がない状態では、そもそもTCAサイクルはまわりません。特に走る前日・当日・その翌日は食事のバランスを整えるように意識します。

TCAサイクルを効率よく回すビタミンB群とクエン酸

ビタミンB群

 三大栄養素がTCAサイクルによってエネルギーを生み出すときに必要なのが、ビタミンB群です。(ビタミンB群はお互い助け合いながら働きます。ビタミンB群の種類には、B1、B2、ナイアシン、パントテン酸、B6、B12、葉酸、ビオチンがあります)

 ビタミンB群は特に水溶性のビタミンなので、からだに蓄えておくことは出来ず、数時間たつと体のなかから排出されてしまいます。そのため一度の食事ですべてを摂取することは難しいので、毎食の食事で偏りがないように摂取していくことが大切になります。

クエン酸

 クエン酸は、TCAサイクルのスタートにあたる有機酸です。クエン酸を摂取することで、TCAサイクルがスムーズに回転しやすくなり、エネルギーを生みだしやすくなります。

【ビタミンB群の代表的な食材】

クエン酸 酢、柑橘系の果物(みかん・グレープフルーツ・レモン)、パイナップル、キウイ、いちご、トマト、梅

おすすめメニューの例

・納豆ごはん・鮭の塩焼き・きゅうりの漬物・豆腐の味噌汁・みかん
・胚芽パン(ピーナツバター)・ハムエッグ・トマトとツナのサラダ・バナナヨーグルト
・ごはん(5分つき米)・豚肉の梅しそ巻・水菜と豆腐と鰹節のサラダ・しじみの味噌汁
・ごはん(雑穀米)・さんまの塩焼き・ほうれん草のピーナッツ和え・かぼちゃの煮物・油揚げの味噌汁
・ごはん・ブリの照り焼き・春雨の酢の物(きゅうり・ハム・卵)・ひじきの煮物・ふのりの味噌汁
・ごはん・酢豚・キャベツの昆布和え・豆腐の中華スープ

 食事の中でとっていくことはもちろん、ランニング後に黒酢や果実酢などのドリンクを飲む、フレッシュフルーツジュースを飲む、季節の果物を食べるのもおススメです(クエン酸の摂取)。

ランナーは肝臓疲労の原因にもなる“アンモニア”の除去を助ける「オルニチン」

 もうひとつ忘れてはならないのが肝臓の疲労です。肝臓はおもに、栄養素の代謝や解毒をしている臓器ですが、特にランナーでハードにトレーニングをしている場合、走るためのエネルギーを生み出すときに、その副産物である“アンモニア”が増加し、肝臓はその処理に追われるようになります。

 そうなると、“アンモニア”がTCAサイクルによってエネルギーを生み出す回路が回るのを阻害してしまい、疲労の原因を生み出してしまうことにつながります(走るだけでなく、食べ過ぎ・アルコールの飲みすぎも肝臓を酷使します。走るうえに、食べたり・飲んだりする機会が多く、そのうえ疲れている…という方は、肝臓疲労が疲れの原因ということもあります。)。

 では、どうすればいいかというと、“アンモニア”の解毒を促進してあげればよいのです。そこで登場するのが、アミノ酸の一種である「オルニチン」です。

【オルニチン(アミノ酸)の代表的な食材】

オルニチン(アミノ酸) しじみ、まぐろ、ヒラメ、チーズ、etc

 オルニチンは、アミノ酸の一種で、しじみ、まぐろ、ひらめ、チーズなどに多く含まれています。かなりハードにトレーニングをした、マラソン大会の後の打ち上げで肝臓を酷使した(食べ過ぎ・飲みすぎ!?)なんて日は、その日のうちに、もしくはその翌日の朝に「しじみ汁」をプラスして、“アンモニア”の解毒を促進して、TCAサイクルが回りやすい状態を作ると、疲労が取れやすくなります

まとめ

 「素早く疲労を回復する」ための食事のポイントや、組み合わせを確認してきましたが、まずは食事の基本をしっかりと整えていくことが大切です。そして、基本をしっかり押さえたうえで、さらに+αな知識をもって食事をとることで、より自分自身の目的、なりたい自分に近づくことができるのです。

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